セコム損害保険の販売戦略

セコム損保の前身は「東洋火災海上保険」です。2000年に現社名に変更し完全にセコムのグループ会社になりました。東洋火災の名前を覚えている消費者は少ないですが、警備大手のセコムの販売網を利用して、火災保険を割引販売するなど面白い販売手法を採用しています。警備の分野においてはセコムの力は断トツです。企業にとってセコムの安心感は大きく企業保険も一緒に販売と言うのは名案ですね。

2016年度の正味収入保険料は438億程度で規模としては小粒です。ただし経常利益が30億円と驚きの数値が出ています。これは火災保険が売上げの多くを占めているからです。火災保険や傷害保険は損保に取ってドル箱です。自動車保険は儲からないので、火災・傷害で利益を出すのが損保経営のスタンダードです。

で肝心のセコムの自動車保険ですが、2016年度の売上げが77億と言う事であまり力は入れていません、結果自動車保険のシェア自体は1%以下ですが、サービスとしては特徴を持っています。1998年12月にスタートした「セコムの現場急行サービス」はなんと「セコムカーの現場急行サービス」を提供しています。まあ駆けつけるのはセコムの警備員ですから、出来ることは限られています。保険会社の社員でも弁護士でも無い訳ですから、示談交渉は出来ません。セコムカーで体格のいい人が駆けつけてくれれば、安心感はありますね。相手の人もびっくりです。このサービスを20年前に開発をした企業の姿勢は尊敬に値します。しかも無料のレッカーサービスは100kmまで対応。日帰りで出かける範囲はカバーできそうです。

シェアが1%以下ですから、サービスの認知度としては低いですが、現場急行サービスは素晴らしいサービスです。示談交渉で焦る事はありませんが、事故現場は焦ります。そこで安心を与える仕組みはいいですね。ちなみに35歳以上を運転者年齢条件とする場合、70歳以上を補償対象外とする事で保険料を安くするという尖った制度を導入しています。割り切る姿がいいですね。いつかは人間70歳になりますが、高齢者の事故は多いのでその年齢層を外せば保険料は安くなります。70歳未満の人は検討に値しますね。

参考までですが、セコム損保の平均年齢45歳で平均収入705万・・損保としてはリーズナブルな給与水準です。お客様に還元する姿勢の現れと思います。