水害・台風時の車両保険の対応について

2020年10月台風14号が発生。水害・台風時の車両保険対応について

近年毎年甚大な水害が発生しています。2018年・2019年と台風被害は大きかったですが、2020年も大型台風が発生しています。東日本大震災の保険金支払額には驚きましたが、その後の自然災害の頻度の多さに支払額を聞いても驚きがなくなってきました。今後の車両保険料の高騰が心配です。

ところで自動車保険の車両保険は水害・台風・地震のときは使えるのでしょうか? 結論を先に申しますと水害・台風は保険が使えます(具体例は下表を参考にしてください)一般の車両保険でもエコノミータイプの車両保険でもどちらも対応可能です。

台風により壁やトタンが飛んできて車が壊れた場合は飛来物という扱いなので自動車保険は使用できるわけです。しかしながら地震は違います。地震雷火事親父。と昔から言いますが地震は台風などの局所災害と違い異常災害な訳です。地震予知は研究がなかなか進まず、発生してから分析が色々行われますが2020年現在予知まで至っていません。

台風はある程度データ化されていますので料率に反映することが可能ですが、地震は予知不能・広範囲ということもあり、「保険金が払われない場合・地震」と約款に明記されています。噴火や核燃料事故も同じく免責です。家を守る地震保険ですら50%までの支払いです。しかも火災保険に比べて保険料がえらく高いです。

台風は突然来ません。被害を受ける前に準備が重要です。台風で車が被害を受ける時は殆どのケースで全損となります。一瞬で車を失います。

  • 車を高台の駐車場に移動しておく(コインパーキングも可)
  • 車を屋内のコインパーキングに移動しておく
  • 車両保険に未加入なら途中付帯をしておく。(免責20万の安価なのも可)

台風の予想は1週間前ぐらいが出ますので車両保険の検討の時間は十分にあります。車が飛ばされるぐらいの大型台風接近時は車両保険のセットが重要です。

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台風で物が飛んできて車が傷ついた
保険使用可能。契約内容により自己負担額あり。自動車保険等級は次年度は1等級ダウンになります。保険を使用した場合は「事故あり係数」が適用されます。過去等級という措置が取られていましたが、据置と比べて10%程度割引率が悪化します。

台風で車が水没した
保険使用可能。ただし明らかに水没するところに自動車を置き去りにした場合等免責の場合もあります。
自動車が水没したら自分で動かさず、レッカー会社を呼びましょう。(自動車保険の付帯サービスを活用)エンジンが水没し水が入っている状態でエンジンを動かすとウォーターハンマー現象が起こり壊れる可能があります。車が水没してしまうと全損と判断される事が多いです。夏場は匂いがきつくなりますので早めに引取りを依頼しましょう。

土砂崩れの下敷き
保険使用可能。雨が降り続くと時に山が崩れ家屋・車両を飲み込みます。この時は替えしたほうが良いかも。類似の損害に木が倒れてきたというのもありますが、もちろん保険使用可能です。
マンションのベランダの鉢植えの落下
保険使用可能。ただしこの場合は上の住民に管理責任をに基づき損害賠償を請求できる余地はあります。

標準的車両保険約款
第3条(保険金を支払う場合)
当会社は、衝突、接触、墜落、転覆、物の飛来、物の落下、火災、爆発、盗難、台風、洪水、高潮その他の偶然な事故によって契約自動車に生じた損害に対して、この車両条項および基本条項に従い、被保険者に保険金を支払います。
⇒台風・洪水と明確に記載されております。約款のこの箇所は他社の約款もほぼ同一です。

台風で損害賠償責任は発生するのか?

最後に余談ですが、隣の住宅の屋根が落ちてきて自動車保険が潰れた場合、隣人の家主に請求できるのでしょうか?車両保険に加入していれば車両保険を使用できますが、じゃあ「車両保険に加入していない人はどーするんだ?」という事です。

また保険会社は民間企業です。お客様との契約で車両保険を払った後、加害者に請求が可能であれば保険者代位求償を行います。(あなたの責任で当社のお客様の車両が破損しました。本来はあなたが賠償すべきものですが、当社が立替をしているので支払ってください。)保険者代位に基づく求償通知という感じでお手紙が届いたらビビりますよね。

①隣人に請求可能=保険会社は車両保険支払い後に求償する。
②請求不可=保険会社は車両保険を支払って終了。

いろいろ事例はあると思いますが、基本的に天災だと隣の人の家の所有者に不法行為責任を追及するのは難しいです。相手方に損害賠償を請求する場合の根拠法は民法709条不法行為責任なのですが、条件として故意・過失が無ければならない訳です。通常故意過失がありますか?と聞けば答えは明らかですね。②が一般的には正解です。(ボブも台風で求償をしている事案を実務上見た事がありません。)

ただし例外もあるでしょう。その家の屋根がそよ風程度でもプラプラしていて、台風がきているのに何の対策もしていない。結果その住宅地域は春一番にも届かないぐらいの風だったがその家だけ屋根が落ちた。そんな場合は多少賠償責任が認められるかもしれません。ただ経験則で言えば台風等の自然災害で賠償責任が認められるのは極めて珍しいケースと考えます。

失火責任法(火災は重過失がない限りは賠償責任を負わない)もそうですが、ある程度の線引きは必要なのではと考えています。ボブ自身としても一寸した請求額を何でも訴訟で解決というのは今一好きになれません。車を管理・運転する以上は色々なリスクはありますし、何でもかんでも賠償請求していたら、本当に困って裁判所に助けを求めている人が困りますし、台風時の管理責任を追及している時間(因果関係の立証が極めて困難)は、他の事にあてたほうがいいかと考えます。