通販保険の基礎知識

目次

通販保険会社とは

損害保険会社は長らく代理店を通じて保険を消費者に届けてきました。新車販売のディーラー・中古車販売・自動車整備工場が主力代理店です。火災保険であれば不動産業が主力代理店となります。損害保険はリスクの引き受け範囲が広く、個別に販売窓口を作るとコストがかかるので、なにかの商品とセットで売ってもらう販売手法がとられています。

一方で通販の自動車保険というのは保険のアドバイスをする代理店は当然いなく、自分の判断で保険の内容を組み立て直接保険会社と契約する必要があります。保険会社に聞けば当然質問は答えてくれますが、しがらみや付き合いではなく自分で選択しなければいけません。

少し手間はかかりますが、その見返りは大きく保険料の削減という形で返って来ます。 日本では通販型の保険が解禁され20年以上が経過し、シェアは確実に伸びています。代理店の離反を恐れ、直販に進出してこなかったメガ損保もグループ内に通販の自動車保険を持つ時代になりました。

代理店には多くの代理店手数料が支払われます。代理店での販売は自社で支店や販売網を構築しなくても販売窓口を持てるという大きなメリットはありますが、地域毎の支店を極力廃止し、販売窓口を一か所に集中する事で、自社運営での販売も可能です。通販保険会社は代理店に支払う中間マージンを廃止し、その分を保険料に還元する。とても合理的な販売手法です。

通販保険会社の営業拠点

ほとんどの人は保険会社のビルの中に入ったことはありません。日常生活では全く縁がありません。保険の契約も代理店であれば代理店の店舗・通販であれば電話かWEBなので、保険会社の営業拠点を意識する事すらありません。

地域毎に多くの代理店を抱える代理店型保険会社は、全国に支店網を構築する必要があります。代理店営業は代理店への営業・お付き合いがあります。

一方で、通販保険会社は代理店がありませんので、営業目的で支店を全国に作る必要がありません。契約者からの電話を受け契約を成立させるコールセンターがあれば営業できます。コールセンターは人が採用しやすい東京・大阪にある事が多いですが、事業継続・地代・人件費の観点から北海道・沖縄等もコールセンターが多く設立されています。

損害保険会社の営業拠点は契約者が関わることは殆どないので、拠点数が多くても少なくても影響はありません。

営業拠点はホームページです

保険の契約は代理店が現物を確認して、保険を引き受けや契約変更を受け付ける。そんな時代もありましたが、今はホームページ上で全てが完結する時代になりました。

2003年。通販自動車保険の創世記に三井ダイレクトがオンラインで契約内容変更(車両入替含む)を可能としました。住所変更や年齢条件などは重要告知事項にあたり変更があれば遅滞なく保険会社に通知しなければならない事柄です。ましてや車両入替は保険用語で目的物の変更といい最重要事項です。火災保険で言えば家を買い換えたので保険を変更したいという事ですね。いまでこそ当たり前のサービスですが当時は大英断でした。

導入前は電話して車検証をFAXして保険会社の引き受けの承認を受けるという面倒な手続きがありました。お客さんの告知を信頼してそのまま保険を引き受けると言うのは、簡単そうでなかなかできない事です。モラルリスクがあるからですが、モラルリスクが高まるよりお客さんの利便性を重要視した決断はすばらしいです。

オンライン契約は悪意の契約者が混ざりやすいと言われています。実在しない車を契約し等級を稼いだり、車両の偽装盗難事故を起こしたり99.99%は善意の契約者ですが、一定数の不正請求は残念ながらなくならないのが実態です。

モラルリスクの発生率と契約者の利便性の向上・・・難しい判断です。ただ契約者の告知に誤りがない前提で引き受けたとしても、支払いの査定時にしっかりと確認・調査を行えば不正請求は排除出来るので契約者の利便性を優先したものと考えます。

通販保険会社の損害調査拠点

保険は形のない商品です。お店で商品のスペックを見て購入を決めるパソコンなどとは大違いです。事故が起きて初めてその会社の商品が具現化します。一生お世話になることのない幸運な人もいます。

交通事故の際にスムーズな対応をする為には、拠点数は重要です。軽微な単独事故であれば、担当者が面談に行く事はないので問題はありませんが、相手方がいる事故だと機敏な対応が必要です。特に被害者が重篤な傷害を負った場合は、速やかな加害者の面談に加え、示談担当者の被害者面談が円満解決のポイントです。拠点数が沢山あればカバーするエリアが狭いので機敏に動けます

土日の交通事故報告で月曜は損保は大忙しです。午前中に一通り契約者・被害者・工場・病院等関係先への連絡を終え、午後15時ぐらいから重症の被害者への入院先に被害者面談にいく。近いとすぐに動けるのですが、病院までの距離が遠いとすぐにうごけません。交通事故は最初と最後の対応が肝心です。

実際に代理店販売制度をとる会社と比較して通販の自動車保険の商品力を、ネット上で公開されている情報を元に検証します。

2019年実績 売上 従業員数 損害拠点数

通販自動車保険NO1ソニー損保

1,076億円 1,303名 26

損保業界NO1東京海上日動

10,783億円 17,077名 236

ビジネスモデルが違う両社を比較することには、意見があろうかとは思いますが、拠点数でみると10倍近い差があります。一都一道二府四十三県なので東京海上は全国を網羅しています。ソニーは約半分です。契約者数が多いエリアに拠点置いていると考えられますが、県をまたいで面談にいくエリアがあるのは間違いありません。緊急の面談を要するケースは多くはありませんが、いざという時に速やかに動ける体制は大事です。

通販の自動車保険に、国内大手損保が売りにしている全国展開・代理店による手厚いサービスを求めるのは、ビジネスモデルが違うので割り切るしかありません。通販の保険会社が全国に拠点を展開したら事業費が高騰し保険料が高くなってしまいます。

通販自動車保険のサービスは?

新聞や雑誌各誌に契約者の満足度が比較されていますが、通販系各社が上位を占めています。通販系の保険会社は保険会社の歴史が浅く契約者の信頼・契約を取る為に、同じことをやっていても伸びないと言う発想があります。通販保険会社はサービス競争を続けており消費者としては大歓迎です。

また契約者が直接担当者と直接話すというスタイルが、透明感を増し契約者の満足度を上げているのも要因の一つです。

既存の代理店制度の良い面は沢山ありますが、それ以上に今はどの業界でも、直接やり取りしていくというスタイル(いわゆる中抜き)の浸透が、通販自動車保険業界を後押ししていると思われます。いて通販の保険の歴史は20年弱。一方で1879年に日本初の海上保険会社ができましたが、メガ損保の歴史は100年です。

契約スタイル

WEB上で全て完了します。自宅のパソコンでで様々な保険会社を比較可能。またわからない点があればフリーダイヤルにTELすれば各社丁寧に対応してもらえます。ただし時間によってはつながり難い時間もあります。まあこれは通販の保険会社に限った現象ではないですね。一般のコールセンターで大体5%ぐらいは入電してもとれないらしい。

今は一括比較のサービスがあるので、すぐに各社の見積もりがとれます。同じ1年間の保険でも2倍以上の開きがあります。通販保険の値段を知るとメガ損保の保険は縁遠くなります。

継続契約

通常2、3ヶ月前に継続のお知らせが送られてきます。会社によっては早期継続すると割り引いてくれるとこもあります。 通販の保険会社は毎年比較して一番いい会社で契約しましょう。

どの会社も圧着葉書で次年度契約の保険料・お勧めプランの紹介があります。WEBで契約しているので、葉書の案内は不要と思っていますが各社から届きます。

通販の保険会社に加入する人は価格に敏感です。事故がないのに保険料が上がる時もありますと丁寧に案内がされます。保険は皆で助け合うシステムです。自分が事故をしていないくても・自然災害を受けていなくても、契約集団のどこかで事故があれば全体で負担しますんので、翌年は値上がります。

カーサービス

通販会社は代理店がないので契約者のカーライフをサポートする為、多くの修理工場と提携しています。各社500社以上の工場と契約し、多い会社では全国1,400社との工場と契約しています。自動車修理工場の品質は様々です。保険会社は数多くある修理工場の中から品質が高い工場とのみ契約しています。

また事故だけ無く故障などでも近隣の工場を手配してくれます。当然、損保各社がレッカーサービスを提供しており、JAFに加入する必要性も減ってきました。

事故対応

一番各社サービスの差が出てくるところです。通販会社は代理店が無い為、直接保険会社の社員と契約者が話すので経過報告等がわかり易い面がある。実際、顧客満足度をみると既存損保より通販会社の方が満足度が高い点を考えると、代理店の有る無しは然程大きな問題ではないと考えます。

以前は、事故対応が悪くて苦情を言っても、個別の案件として対応されることが多く、損保の経営・サービスに反映されることはあまりありませんでした。今は時代が違います。損害保険全社がお客様本位の業務運営方針を掲げ、顧客本位の業務運営を目指しています。特に通販の自動車保険は代理店がなく、顧客の多くは毎年比較見積を行い自動車保険を選択する移り気な顧客層です。

顧客を繋ぎとめるため、事故対応が終われば各社がお客様へのアンケートを実施し品質向上に努めています。