対物超過(修理費用)補償特約とは?

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対物超過(修理費用)補償特約とは

言葉自体が理解できず、そもそも何を補償してくれる特約なのか分かりにくいですよね。これは実際事故に遭遇して全損という事を理解しないとありがたみが沸かない特約です。しかしながらいざその場面に遭遇してしまった場合真価が発揮される特約です。

法的な損害賠償責任以上の金額を保険で支払ってもらえるという夢のような特約です。法的な損害賠償責任を支払うのが損害保険の大原則ですが、なぜこのような保険商品が売り出されているのでしょうか。

対物全損は揉めます。特に100対0の追突事故。(ひゃくぜろケース)

交通事故で必ず揉めるのが対物全損です。双方責任があり50対50のケースであればそんな問題にもなりません。 逆に80対20や追突の100対の0事故で相手方が全損になると最悪です。円満に解決できた記憶がほぼありません。

赤信号で停車中の車に追突して相手方の修理代が50万で、車の価値が20万だと20万しか補償されません。車の価値が20万以下の車は世の中に沢山走っています。車の性能があがり10年前の車でも普通に動きますが、車としての財産価値はほとんどありません。価値がないものに賠償は出来ません。

それで被害者は加害者に自己負担を要求してきて揉める訳です。法律上は賠償する必要はありません。それ故保険会社も払いません。相手から連絡がきたら「保険会社と話してください」と冷静に対応すればOKですが、なかなかそうは問屋がおろしません。ガンガン被害者から追い詰められ、自己負担をする人もいます。なんの為の保険かわかりません。

払う責任が法的にはないとわかっていても、何回も電話がきたり、自宅にこられると徐々に払わないといけないという気持ちになってしまうのが怖いとこです。(過度な請求行為に対しては弁護士を入れざるを得ないケースもあります。)

対物超過特約があれば揉めません

そんな時にこの特約が付いていると上限がありますが修理代を保険会社が賠償してくれる訳です。事故を起こした人・契約者は、相手方から差額を賠償して欲しいという連絡から逃れることができます。さらには保険会社の賠償担当者の負担も減ります。保険会社担当者は同時に100件以上の案件を対応していますので、1件このようなトラブルがでると契約者を守るために、被害者に電話をしたり、時に弁護士を手配したり多くの時間をさきます。

そんな悩みを解決する為に生まれた特約ですが、あくまで修理が条件です。未修理状態で請求する過大請求を防ぐ為に約款に明記されています。 自動車保険はあくまで法律上の賠償責任を担保する為のシステムですが、日本の裁判所の考え方としては、賠償はあくまで時価が限度です。修理代金が賠償対象になると古い車をワザとぶつけて高額な修理代金の不正請求するという不当利得を防ぐ目的があります。一方この判例の為にホントに困っている人が多いのも事実であり、全損は事故当事者はもちろんの事、保険の支払い担当者にとっても頭が痛い問題です。

結論

実態を鑑みてトラブル回避の為に法律上の賠償責任以上の賠償をして交通事故を円満に解決する為の商品といえます。

この商品が発売された2010年頃は、一部の人しかつけていませんでしたが、大手損保が自動付帯にした事もあり知らない間に多くの人が加入するようになりました。車の価値はあっという間に下がり、多くの人が長期間車を乗る時代なので、対物超過補償特約は加入しておいたほうがよい特約です。